「オタク」の対象について

私の教え子の卒業生の中にすごい「鉄道オタク」がいます.どの程度の「鉄道オタク」なのかというと,鉄道を愛するが故,自動車免許を取得しないという誓いを立てています.古い時刻表を大切にし,その古い時刻表を見て空想の中で「鉄道の旅」をすることができます.

さてここからが問題です.「鉄道オタク」は存在しますが,「自動車オタク」は聞いたことがありません.これは,何故か考察したいと思います.

まず,私のオタク理論では,オタクとは「趣味・嗜好が興じて現実と空想・妄想との境界が曖昧になった状態」と定義しています.鉄道も人によっては毎日通勤で乗る人もいるかもしれませんが,「鉄道オタク」の人達の対象は通勤などの手段ではなく,鉄道をつかった遠隔地への旅行や,普段乗ることができない車両を対象としているのではないかと思います.そして何よりも鉄道は車両の運転は,鉄道会社の職員でなければならないので,その機会を得ることは難しく情報からその運転方法がわかったとしても想像の中で行うしかないのだと思います.
自動車は所有することのできる乗り物です.そして免許取得年齢に達し免許を取得すれば,実際に運転できる乗り物です.したがって鉄道と比較すると「現実」的であり,想像に頼る必要はありません.そのため,「オタク」を発症する対象とはなりにくのではないかと思われます.ただし,希少な運転することが困難な自動車ならオタクを発症するかもしれません.たとえば,フェラーリなどの所有することが一般人では困難なスーパーカーなら,「フェラーリオタク」あるいは「スーパーカーオタク」を発症することは考えられます.

では,「飛行機オタク」はどうでしょうか.これもあまり聞いたことがありません.

自動車と鉄道は陸上を走行し,飛行機は空を飛ぶ乗り物です.私たち自身も陸上を歩いて移動するので,妄想や想像が空を飛ぶという行為に追いつき難いので,「飛行機オタク」発症しにくいのではないかと私は考えています.